「5ー1=6」とは
こんにちは、KJです。
ある本がきっかけでこんなデザインのブックカバーを考えてみました。
ちょっと意味がわからないですよね。あと、まわりに点字も印刷されています。
実はこの「5ー1=6」は、弊社が仕事でお世話になったこともある国立民族学博物館(以下、民博と省略)にお勤めの広瀬浩二郎先生と、同じく民博にお勤めの相良啓子先生の共同執筆による『「よく見る人」と「よく聴く人」』の文中にでてくる言葉です。
当社が点字や触知図の仕事をしていることや、聴覚障害者向けのツールとして筆談ボードを製造・販売していることもあって興味深く読むことができました。
以前に広瀬先生がご自身の本のタイトルとして「5ー1=6」を提案したことがあるそうで、「五感のうち一つを使わないことにより、人間は新しい価値観・世界観に出会う」という信念を表したものとのことでした。
人間には、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚という五感がありますが、視覚が使えないこと(使わないこと)によって、五感以外の何か別のもの(価値観や世界観)を感じることができる・・・そういった意味なんだと思います。
「よく見る人」と「よく聴く人」 共生のためのコミュニケーション手法 (岩波ジュニア新書 975)
出版社:岩波書店
広瀬 浩二郎 (著), 相良 啓子 (著)
新書:206ページ
ISBN-10:4005009751
ISBN-13:978-4005009756
以前から「点字のことを広く世間に知ってもらうにはどうしたらいいのだろう」ということを考えていたこともあり、人目を惹く奇抜なコピーをあしらったブックカバーがあれば面白いと思ったわけです。
ブックカバーは普段から持ち歩くものですし、そこに点字を使うことができれば「これは何だろう?」と興味を持ってくれる人も増えてくるのではないかという思惑です。
下の写真は「プラスα」の部分を強調したデザイン案で、5つの数字のうち、1の数字がグレーになっています。
もっとも、上記のようなちょっと変わったデザインのブックカバーも面白いと思うのですが、下の写真のようなオーソドックスに点字一覧表を印刷しただけのデザインも実用的で便利な気がします。ちょっとしたすきま時間に点字を覚えられますし・・・。
※上の写真の点字一覧表は弊社も出展しているサイトワールドやライトハウス展(PDF)などの視覚障害者向けの展示会で配布しているもの
※なお、これらのブックカバーはまだ思い付きレベルですので、実際に商品として販売するかどうかは未定です。
さて、冒頭の本についてですが、執筆者の広瀬先生は全盲ですし、相良先生は19歳で失聴されています。
目の見えない・耳の聞こえないお二人が、過去の経験やこれまで歩んできた道を振り返りながら、現在の仕事や研究内容について語る・・・そんな内容です。
ご興味のある方はぜひご一読ください。
P.S.
以下は当社の元社員で、点字・触知図印刷の立ち上げ当初から業務に携わっていたS氏から筆者のような初心者向けに推薦してもらった視覚障害に関連する書籍です。ご参考まで・・・
・見えないボクと盲導犬アンジーの目もあてられない日々(小学館)
おもしろおかしく読める入門書のような本。すぐに読めます。
・不可能を可能に――点字の世界を駆けぬける(岩波新書)
日本点字図書館の館長を務めた田中徹二さんによる現状の視覚障害者サービス全般がわかる本。
では、KJでした!