MENU

スタッフブログ

トップ スタッフブログ ダイアリー 消せる紙(けせるし)の開発経緯について
ダイアリー

消せる紙(けせるし)の開発経緯について

~消せる紙はこうして生まれた~

こんにちは、KJです。

2011年の11月に「nu board A4判」を発売してから13年が経過しました。
この商品が、どういう経緯をたどって発売することになったのかについて書く前に、「nu board」の前身ともなった「消せる紙(けせるし)」について書き残しておこうと思います。

そもそものきっかけですが、とあるお客様から印刷担当の社員に次のような問いかけがありました。

「ポスターの一部をホワイトボードのように書いたり消したりできる加工ができないか?」

もちろん、当社でそのような技術は持っていませんでしたし、他社でもそのような加工方法ができる印刷会社は見当たりません。
PP加工をすれば簡易的なホワイトボードとして使えることは弊社の担当者も知っていましたが、同時に消去性に問題があることも知っていました。
通常であればそこでこの話は終わってしまうのですが、その当時、依頼を受けた社員はUVニスを使った印刷技術の開発に力を入れていました。
そんなこともあって、UVニスを使って書き消しができる表面加工ができないかと模索しはじめたのがきっかけです。

開発当初はマーカーによっては書いた文字が滲んでしまったり、あるいは書いたあとに消せないといった問題が発生し、なかなかな思うような加工ができなかったようです。
その後、社員の努力のかいもあり、何とかホワイトボードのように書いて消せる機能を持つ加工が実現できました。

その当時の当社は「開発型企業を目指す」という経営方針を打ち出しており、「商品化プロジェクト」という名称でおよそ7~8人のメンバーで新しい商品・サービスを開拓していこうという動きが活発化していました。
そのプロジェクトの会議の席上、当時の社長から次のような指示がありました。

「当社の印刷技術を活かした商品を発売してみたい。メンバーそれぞれがアイデアを考え次回の会議で発表してもらいたい」

メンバ―全員、今までそのようなことを考えたこともなかったのでとまどいもあったように記憶しています。

2週間くらい過ぎたころでしょうか。いよいよ会議で各自が考えてきたアイデアを発表する日となりました。私自身も特にこれだ!というアイデアがあったわけではありません。
ウルシ印刷(疑似エンボス加工)を使ったアイテムも考えていましたが、さんざん迷ったあげく「壁に貼って何度でも書いて消せるツール」という案を提案することにしました。正直に言ってこのときはまだ、ホワイトボードの代替品として使えるという意識は希薄だったわけです。

なお、その当時、壁に貼って使えるシート状のホワイトボードはありましたが、マグネットが付けられるタイプが主流で、価格も数千円とかなり高価なものでした。
紙に印刷するだけであればコストも抑えられますし、何より薄くて軽いという特長があります。
ホワイトボードのない小さな会議室や、ちょっとしたスペースに貼って使える便利さがあるので、「これはいけるかもしれない」と、販売に向けて動き出すことになりました。

手始めに2008年にISOTという文具の展示会に出展しお披露目したのですが、その当時の写真を見ると「消せる紙」のほかに、ウルシ印刷を使った紙袋やフォルダーなども展示したことがわかります。

ISOTでの展示品の写真
展示会での消せる紙(けせるし)を展示した写真

「消せる紙」としての発売は2008年10月ですが、発売当初は「壁に貼って使える紙製ホワイトボード」というキャッチコピーは使われておらず、A1版のパッケージには「リライタブル方眼模造紙」「リライタブルペーパー」などと印刷されており、「ホワイトボード」という言葉が印刷されていないのも面白いです。

消せる紙(けせるし)のパッケージの写真

その後、「消せる紙」は紙製ホワイトボードとして徐々に市場に広まっていきましたが、「消せる紙」をさらに発展させた商品を検討していくなかで「nu board」へと結びついていくわけです。

では、KJでした。