マナーを考える

勉強をして頭を鍛え、テストでいい点を取る。運動部に入り体と技を鍛えて、大会で優勝する。塾に行って偏差値を上げ、いい学校に入学する。どれも当然ですが悪いことではありません。しかし、自分がよくなることに目がくらみ、人様の迷惑になるようなことはいけません。成績が良くても、性格が悪くては人様に迷惑をかけてしまいます。そういう人間になってはいけないと思っていました。すなわち、何をやってもいいが、人様に迷惑をかけてはいけない、と考えていました。今、思い出すと自分のことは棚に上げて、子供にはそのように指導していたようです。例えば、食事のマナー。音を出さない(蕎麦をすするのは文化ですから、これはむしろ外国人に教えるべきだと考えています)、肘を突いて食べない、汚い食べ方はしない、などなどほとんど毎食毎に、口うるさく教えていました。そして基本マナーが出来た頃、日本に帰国しました。

そしてある日、私の尊敬する先輩を自宅にお誘いして夕食をともにしたときです。素直にこのマナーを身に付けた次男が、肘をついて食べているその先輩に対して、「おじさん、肘をついて食べちゃいけないんだよ」となんの躊躇もなく言ったのです。私も、「あれ、先輩、肘をついている」、と気がついていましたが、さすがに私が先輩のマナー違反をその場で注意できずにいたところでした。それを言われた先輩、さすがに何も言えません。「あ、そうだよね」くらい言ったかもしれません。何ともいえない表情を浮かべ、私は私で、「これ、そんなことを言うな」とも言えず、私もバツの悪そうな顔をして固まってしまったのです。その後、どんな言葉でその場をしのいだのか忘れてしまいました。しかしながら、次男は正しいことを言ったわけで、まだ5,6歳の子供に、「ああいう時は、ちょっとは遠慮するもんだ」、というのも変で先輩が帰ったあとでも子供になんと言ったか覚えていません。「よく言った、でかした、でかした」と言わなかったのは確かですが。

「気遣いが 形に出れば よきマナー」