「ハワイの人」その1

私共夫婦は毎朝、6時ごろから近所を歩いています。決まった時間に決まったルートを歩いていると、同じ人に出会います。ほとんどの人とはGood Morningで終わってしまいますが、中にはそれ以上の話しをするようになって親しくなります。名前を挨拶の前につける人が数えたら5人いました。挨拶だけの人も入れると10数人にはなるかと思います。その中で、最も親しくなった人がいます。美容師を生業にしていますが、オーブンで作る焼き菓子が得意で、いつのまにか頻繁にオートミールクッキーやバナナブレッドをいただくようになりました。それにしても美味しいのです。その方はなにしろ美味しい美味しいと言ってくれるのが自分にとっての喜びなんだと、何度も何度も言っていました。それと私と話をするのが楽しみにしているようで、来週から日本にちょっと行ってきます、と言うとちょっと表情が曇ります。話が出来なくなるのが淋しいようです。ある時、お土産を買ってきました。クッキーのお礼です。何を差し上げたのか忘れてしまいましたが、片一方は美味しかった、ただもう一方はちょっと自分には合わなかった、と言ってくれます。そこで、こんなものはどうか、あんなものはどうかとヒアリングをしているうちに、羊羹は好きだとわかりました。そこで、前々回からのお土産は「虎屋の羊羹」にしたのですが、これは大好評で大事に大事に食べているのだそうです。

ところが、先日、突然、“リタイアするのよ”と言われました。年齢も私より10歳くらいは上ですから、もう十分働いたわけですので、おめでとうと言ったら、おめでたいことなんてない、淋しいんだ、と言われてしまいました。一人住まいで、兄弟仲はあまりよくないようで、話に出てくるのは姪や甥です。親しい友達もそんなにいないようです。ようは、社会との唯一大きな接点だった、美容師としての仕事がホテルの改装工事のために出来なくなってしまう、それがとてもつらいようです。今週の土曜日のランチには、レストランに招待してねぎらってあげようと思っています。

「いるだけで 笑顔にさせる 人すごい」