馬には馬の意志がある

 馬には馬の意志がある。よく聞くことわざに「馬を水辺に連れていくことは出来るが、馬に水を飲ませる事はできない」というのがある。これを知った時に、なるほどうまい事を言う、とつくづく思ったものだ。しかし、最近、これをさらに掘り下げるような説明に出会って、思わず唸ってしまった。
それは、「飲みたいという情況や条件を作って上げれば、水辺に連れていくだけで、飲みますよ。」、というのだ。なるほど、なるほどである。賢明な諸氏は既におわかりだろうと思うが、例えば、水辺に連れて行く前に、めいっぱい走らせて、喉を乾かせばどうだろう。あるいは、餌をあげるだけで、一切、水を飲ませなければ。このように、ある情況や条件を作って上げれば、馬の意志にそうようになり、水辺では、いいかげんにしろ、と言いたくなるほど、水を飲むのである。
この話を具体的に人間社会に応用すると、「いろいろ言っているのだけれど、解ってくれない」、というのような愚痴も、「解りたい」という情況を作ったり、「解れば得」という条件を作ればいいのである。
ことわざは、ある一面を鋭く突いているが、それは、象徴的に表現していることが多く、このように、もう少しかみ砕いて、理解してみると、見えないものが見えてきて、この言葉の意味するところが味わい深くなり、ちょっと利口になったようで嬉しくなった、の巻。