論理性と非論理性の融合

ビジネスには論理がつきものです。営業戦略や経営戦略の議論は論理なくしてあり得ません。採算に至っては、経済合理性に基づいて考えるのが必然です。ところがそうは言っても、“ビジネスには非論理性や不合理も欠かせない”、と言われると違和感を感じてしまうかも知れません。
“ビジネスライク”という言葉には、何か非論理性や不合理が入り込む余地は全くなさそうです。しかし、ビジネスは人が行うもの、と言えば、そうかそれなら当然だ。人はそもそも論理的でない部分が多多あるし、不合理なこともよく見掛ける。ということで非論理性や不合理に市民権が与えられます。では具体的に何が非論理的なのか、何が不合理なのでしょうか。
経営者にとって最大の非論理性は“好き嫌い”だと思います。人の好き嫌い、商売の好き嫌い、場所の好き嫌い、いろいろあります。“経営者はわがままだ”、なんて自分でも良く言うのですが、そういう背景には、「俺はあの会社の経営者がどうしても好きになれない。だから商売もしたくない。」なんて良くある話。あるいは「あんな格好の悪い商売なんかできるか」、という捨て台詞もある。また、いい訳としては、「ついてなかった」、とは耳障り。やっかみで「お前は運の強い奴だ」なんて言われることもある。直感ときたら、どう考えても論理性とはほど遠い。組織の中では、「あいつとは相性が悪いんだ」、と。ポジティブなものとしては、「あいつ、やる気十分だな」。
矛盾に満ちた人間、とらえどころのない人間、曖昧な人間、こういう人間によってビジネスがなされているということと、人知を超えた得体の知れないモノにコントロールされている、だから、ビジネスは奥が深くて面白い、とつくづく思うのです。
“ビジネスは 論理・非論理の 掛け合わせ”