新たな柱 -“感性価値製造業”

 これは小生の造語です。この言葉はこれからの欧文印刷の方向性を考えていた時に思いついたものです。印刷物にニスを塗布することによって、今までにない感触が表現されました。例えて言えば“漆”の感触です。あのツルツルした艶とザラッとした感触。“これは漆に似ているね”、と東京藝術大学の宮田学長がおっしゃられ、あらためて教えていただきました。
殆どの印刷物は視覚に訴えるものです。ところが、この漆的効果を発揮する印刷物は、触覚という感性にまで訴えてしまうのです。視覚で表現してきた印刷物は、せいぜい、“綺麗”で終わっていました。しかし、この漆的表現は、触れた瞬間に“面白い、不思議!”と思わせてしまう代物なのです。
長い間、自分たちの生業を“情報加工業”と捉えていましたが、あらたに開発した漆的表現は、情報加工業の本質と全く違い、自分たちの枠組みを超えたこの製造技術を何と定義したらいいのか正直言って、しばらく戸惑っていました。しかし、宮田学長も一助を担っておられた「感性価値創造イニシアティブ」という経済産業省の報告書を読んで、“感性価値”という言葉に新鮮さと親しみを覚え、この“感性価値”が頭にこびり付いていた矢先に、わたし達の生業の本質は“製造業”だ、それでいて“面白い、不思議!”と思わせるものを開発したんだ、と殆ど叫びみたいな感動が湧いてきて、“感性価値”と“製造業”をつなぎ“感性価値製造業”と呼ぶことにしたのです。
これで、“情報加工業”、“e-printer”、それに“感性価値製造業”の三本柱が欧文印刷の生業になりました。