プライスレス

以前、テレビコマーシャルで“プライスレス”という言葉が使われていた。これは、お金では買えないもの、例えば思い出。では、経営関連でどんなに大金を積んでも買えないもの、これは何かと考えてみると意外と出てくる。アイデア、ノウハウ、社員のやる気、素晴らしい企業文化。これらは、経営者が喉から手が出るほど欲しい。日常的な事柄で言えば、愛情、心遣い、絆、信頼関係など。このように列記していくと、なるほど、お金で手に入らないものほど、本当の価値があるのに気がつく。
3大経営資源と言うと、一般的には“人、物、金”、と言われている。そしてどれが一番大切か、ということになると、多くの人が“人”と言う。これはもっともな話で、どんなにいい機械があっても、それを使いこなすのは人、何かを工夫するのも人、お金があってもそれをどう活かすかというのも人が決めることだから、人はこの3つの要素の一番大事な資源であるわけだ。
しかしどういう訳か、印刷業界の経営者は機械が好きだ。寄ると触ると、どこそこの機械はいいらしいとか、今度、あれを導入したけどいいよ。などと、何しろ機械やソフトのことを話している。これらは、全てお金があれば買える“物”なのだ。経営資源の一番大事なものは“人”と言いながら、実際の関心は“物”に集まっている。これでは、いつになっても他の会社と差がつかない。
しかし、どんな社員が欲しいか、という議論になると“やる気”のあるのが欲しい、と言う。ノウハウは、と聞くと勿論、欲しいと言う。では、それはどうしているのか聞くと、何もしていない。何故なら、“ノウハウ”は買えないから、どうしようもないのだ。何故、“ノウハウ”をつけようとしないのだろう。それは、多くの経営者はそんなの簡単に出来ない、と答える。簡単に出来ないから、価値があると分っているくせに。どういうことなのだろう、私には理解できない。
プライスレスに価値を認めながら、手に入れることに本気になっていない、というのが結論だろうか。
“思考とは 金がいらない 自己研鑽”