パートナーシップ経営

 日本印刷技術協会が主催する「経営シンポジウム2004」が、11月1日、発明会館で開催された。テーマは、「戦略的パートナーシップ」。そして何故か、このパネルディスカッションのパネリストとして、小生にお声が掛かった。以下は、その時に述べた私論で、この経営独言用に多少アレンジをした。
パートナーシップ経営を語る前に、パートナーについて触れてみたい。一般的にパートナーと言うと、ゴルファーなら「本日はパートナーに恵まれて・・・」という挨拶をよく聞かされているし、生涯のパートナーと言えば、女房であり、夫である。さて、それが仕事上のパートナーとなると、資本提携、業務提携、さらには、お金も出さない、リスクも取らないアライアンスと言われる、仲良しクラブみたいなものもある。いずれにしても、買収や合併でない限り、「柔らかな関係」である。さらに、もう一つ、パートナーシップを組むには、ある資質が必要だと考える。それは「ウィンウィン精神」である。補完関係になる、と考えてパートナーを組んでも、「ウィンウィンの精神」がなければ、上手く行かない。何故なら、パートナーシップは拘束力のない、「柔らかな関係」だからである。
さて、本題に入って欧文印刷の「パートナーシップ経営」について語ってみたい。実は、中身は3つある。
一つ目は、「工場の共有化」である。工場の一部をパートナーに賃貸し、パートナーはそこに印刷機を持ち込む。2シフトのうち、片方のシフト要員は欧文印刷から派遣する。さらに、パートナーの印刷工程の前後の工程は欧文印刷で処理する。こうすることによって、パートナーは小額の費用で自社の工場スペースを持つ事ができ、前後の工程に関しても、あたかも自社工場のように活用できる。通常は次の工程の加工をする場合は、トラックを使って移動させなくてはならないところ、その費用は全く発生しない。欧文印刷は、と言うと、遊休スペースを賃貸することによって、営業外収入となる。さらに、自動的にパートナーからの前後工程の仕事を取り込むことが出来る。また、仕事があふれて物理的に離れた外注さんにお願いしていた仕事を、自社工場内の外注さんとしてのパートナーに生産してもらえる。
二つ目は、「協業ビジネス」である。協業ビジネスのパートナーは上記とは全く違うパートナーである。このパートナーは、既に独自のマーケット、すなわちお客様を持っている。当方には、ユニークなソフトウェア技術がある。パートナーが技術開発をするには、お金も時間もかかる。同様に当方が、このマーケットに参入したくて、お金と時間を掛けても運がなければ、参入できない。具体的には、パートナーが持っているマーケットは、葬儀屋さん。欧文印刷は、組版データをサーバー上で生成し、そのデータをインターネットで葬儀屋さんに送信する。そして、葬儀屋さんが自前のプリンターで印刷する、というビジネスである。
三つ目は、「EPCジャパン」のケースである。この組織は、15社の印刷会社からなる。北は宮城県、南は福岡県までの1都13県に点在している。組織されて30年以上になり、欧文印刷が最も新参者だが、それでもメンバーになって15年になる。この15社は言ってみれば親戚関係である。わからないことを聞いて、教えてくれないことはない。社長の年収まで教えてくれる。活動の中身は、経営、営業、生産、総務など、主要な部会が年3回から5回あり、分科会も数種類ある。事務局には2名のフルタイムを要し、情報交換や技術交流、あるいは仕事のやり取りなど、活発な活動をしている。
以上が、欧文印刷のパートナーシップ経営である。全て自前でやるのは、自由度100%が最大の魅力だが、メリットもリスクも100%である。一人で生きる生き方もあるが、ベターハーフを見つけてともに歩む、という人間の生き方を企業の経営に取り入れる、というのも自然な発想だと思うが如何であろうか。