あれから1年

私に対する造反劇が起きたのが今から丁度一年前でした。当時、「新しいチャレンジ」シリーズとして、この造反についても書きましたが、サイトにアップする前に関係者に読んでもらったら、まだ昨日のことのように感じているので、公にはして欲しくない、と言われてしまいずっとお蔵入りでした。しかし既に1年たち、傷も癒えたようなので公にしたいと思います。
タイトルは、「新しいチャレンジその6」でした。
前月に、営業マネージャーの突然の退職の話に触れましたが、これについて少々掘り下げた話をします。これは一言で言えば「造反」です。振り返ってみれば過去に一度、似たようなことを経験しました。この時は、信頼していた人間が起こした「造反」だけに、ある種の人間不信に陥りましたが、今回はそもそもがお互いに理解に窮していただけに、辞めた人間の方が私より気が短かった、という事でしょうか。
私はともかく話し合いを繰り返しながら、なんとか相手を理解しようと努めました。長い経営者人生の中で、このようなタイプの人間に出会ったのは初めてだったからです。しかし、彼らの立場がマネージャーだけに、「経営は、経営者と社員が一体化して成り立つもの」、という観点からすると、マネージャーと私の考え方にあまり大きな隔たりがあってはなりません。そこで違いがあると、話し合いを繰り返してきました。ある時は、「押しつけ」があったかも知れません。会社経営は民主的に進めるものではないからです。話し合いの結果、相互の納得が得られない場合は、経営者の思い、考え方で行かざるを得ません。
今回のケースは、時間をかけてそのズレを是正していこうと、ある時期から考えを改めていました。それと同時に、彼らの考えもなんとなく理解出来るようになってきた、と感じ始めたその時です、辞表が出たのは。その瞬間に頭をよぎったのは、引き留めることではなく、辞める時期です。引き継ぎのことを考えると2ヶ月は欲しかったのですが、彼らは3週間でと言い張ります。決して引き継ぎは迷惑を掛けない、きちんとやって退職をする、ということでしたが、結果的には私たちに取っての混乱と、お客様からの不審を買うこと以外の何ものももたらしませんでした。
4人しかいない部署にいる二人のマネージャーが同時に退職、そして二人同じ会社に再就職。その会社が競合先。こうなるともう「造反」としか言えません。社内の動揺振りは、その瞬間にはわかりませんでしたが、じわじわ感じられるようになってくると、これは大変なことになった、何とかしなければならない。なにしろ補充だ、ということで募集広告を出したのですが、それには殆ど反応がなく、残ったマネージャーの人脈でようやく一人を現地採用出来ました。その後は、既に日本で採用してあった新人と、新規事業担当のマネージャーが営業を兼任、そしてこの私も営業を兼務することで、なんとか難局を乗り切りました。
残された社員には、少し社内が落ち着いた時点で謝罪しました。不安を与えてしまった、そして、引き継ぎのまっただ中にいた社員には、プレッシャーと長時間の残業を強いてしまった、ということに対する謝罪です。私のマネージメントがもっと穏やかだったらこんなことにはならなかったでしょう。しかし、私は非道な経営をしたわけではありませんから、経営の考え方を改めることはせず、これからは伝え方をもっと穏やかにするだとか、もっと時間を掛けて理解を求めて行くべきだ、ということを学びました。
この年になっても、痛い思いをしないとなかなか学べないものですね。
”立ち止まり 今来た道を 振り返る”